去年、家族で県外の観光地の人気の飲食店へ入った。40分以上並んでようやく通されたのは個室の座敷。「ラッキー」と思ったその刹那、隣のテーブルを見て凍りついた。まるで吉本新喜劇に出てきそうな兄貴と子分、水商売風の女性2人。何が楽しいのか、昼間から酔っぱらってめちゃくちゃ騒がしかった。
「ついてないわ…」。せっかくの料理も味がせず、会話もできないほどうるさい。精算時、店員は「ごめんなさいね」という顔をしながらも謝りはせず、料金もしっかりとられた。ひとこと文句をいってもよかったのだが、いまでも思い出しては気分が悪くなる。
こんな話はよくあることだが、つい先日もまたやってしまった。そこは大きなチェーン店。まだ早い時間だったが予約でいっぱい、15分ほど待ってようやく席についたのだが、通路を隔てた向こう側で若い女性が盛り上がっている。
よほど楽しいことがあったのだろう。ずっとしゃべって笑い転げている。大学生の娘がトイレに立った際、その席を見ると、高校生のグループと分かった。みんなプロ野球の応援団のようなかわいいユニホームを着ており、おそらく体育祭か球技大会のあとの打ち上げではないかという。
「私もそうだったけど、いまのこの瞬間が最高に楽しいんよ。青春やな。許したげて」。そういわれてみると、遠い昔の自分のころも店ではなかったが、クラスの誰かの家に集まっては、打ち上げと称して騒いでいたのを思い出した。
コロナのせいで楽しい学校行事がすべてなくなり、何かとしんどかった彼女たちを思うと、うるさいぐらいはむしろほほ笑ましく、去年の吉本新喜劇風のグループに比べればずっとマシ。ただ、飲食店ではもう少しボリュームを抑えましょう。(静)