1987年スタート、99年まで12年間放映された「鶴瓶・上岡パペポTⅤ」(読売テレビ)。88年スタート、局長や探偵が代替わりしながら現在も放映中の「探偵! ナイトスクープ」(ABCテレビ)。この2番組ファンには大きなニュースと思われますが、上岡龍太郎氏が先月、他界されました。享年81歳。氏の語り下ろしによる自伝的上方芸能史をご紹介します。

 内容 京都市に生まれた龍太郎少年。時代劇のヒーローになりたくて、当時は歌舞伎役者がよく起用されていたことから「自分も歌舞伎の家に入門すべきか」など悩んだりしていた。

その後、浜村淳に弟子入りを懇願して断られたり、ロカビリーバンドの一員として司会を務めたりするうち、当時人気芸人だった10歳上の横山ノックと縁ができ、61年、「漫画トリオ」の横山パンチとしてお笑い人生をスタート。クセの強い上方芸人たちとつきあいながら、「パンパカパーン、今週のハイライト」などのギャグで人気を呼んだ漫画トリオだったが、ノックの政界入りで解散、ピン芸人として再出発する…。

 私は元号が平成に変わると同時ぐらいにダウンタウンのファンになり、それまであまり関心を持ったことのなかったお笑いという分野全般について勉強しようといろんな番組を見ました。「パペポ」はまったくキャラの違う2人の行き当たりばったり的なトークの面白さに魅了。その後「ナイトスクープ」も観るようになりました。鋭いまなざしで「何がいな」と容赦なく相手にツッコむ、風刺の利いたシャープな上岡局長の言葉にしびれたものです。

 本書は上岡さんの執筆ではなく語りによるもので、古い上方芸能に関心のある人には興味深い史料と思います。引退時はまだ58歳だったと知ってあらためて驚きました。私が「パペポ」を観ていた時はまだ40代だったんですね。もっともっと、枯淡の芸に至るぐらいまで芸能界にいてほしかったなあと残念です。上岡さんならカッコ悪くはならなかったと思います。 (里)

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