梅肉エキスを手に説明する宇都宮教授

 大阪河﨑リハビリテーション大学、米・テンプル大学、和歌山工業高等専門学校の共同研究グループが13日、マウスを使った動物実験で、初めて梅の高血圧抑制作用が確認されたと発表した。健康食品として古くから親しまれてきた梅にまた新たな効果が実証された形で、梅の一層の販売促進につながると期待されている。

 大阪河﨑リハビリテーション大学の宇都宮洋才教授(元和歌山県立医科大学准教授)やテンプル大学の江口暁教授らが和歌山市内で会見した。

 梅の機能性についてはこれまでピロリ菌、インフルエンザウイルス、コロナ抑制、コラーゲンに関する美容などの効果が確認されていた。宇都宮教授らは2002年、細胞レベルの研究で梅肉エキスが、高血圧を引き起こすホルモンの「アンジオテンシンⅡ」を抑制することを報告。しかし、梅やその加工品が高血圧に有効かは不明だった。そこで20年越しの研究として、マウスで実験。アンジオテンシンⅡを投与したマウスに通常水、または梅肉エキスを混ぜた水を与えて調べたところ、通常水のマウスは高血圧を発症したが、梅肉水だと高血圧の発症を防ぎ、正常値を保った。高血圧で問題視される血管障害や心臓肥大などの合併症が抑制されることも分かった。

 今後はより大型の動物や人での効果の検証、有効成分の特定が課題。梅の機能性成分は20種類程度あり、現時点ではポリフェノールや有機酸などが複合的に作用しているのではないかとの見解を示している。研究成果はこの日発行の学会専門誌でも学術論文が掲載されている。

 宇都宮教授は「人にも効果がある可能性が高い。梅干しはもちろん、梅肉エキスをもっと知ってもらいたい」、江口教授は「高血圧の薬はすでにあるが、合併症を防ぎきれておらず、梅の効果をうまく上乗せできれば」と話していた。

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