7月末に閉館する辻井旅館

 印南町島田の国道沿いにある辻井旅館が、7月末で閉館する。1980年代後半から90年代にかけては、オーシャンビューの披露宴が人気の日高地方では数少ない結婚式場の一つだったが、オーナーの辻井和吉さん(73)と妻美代子さん(74)も寄る年波には勝てず、時代の変化のなか、惜しまれつつ創業から55年の歴史に幕を下ろすことになった。

 辻井旅館は1968年、岩出市出身の和吉さんの父親がこの地で食堂と旅館を始めたのが始まり。73年に和吉さんが美代子さんと結婚し、間もなく店を継いだ。

 和吉さんの作る和食が評判となり、バスの送迎サービスを開始すると宴会場として多くの団体や観光客が利用。さらに敷地を広げ、おいしい料理と目の前に太平洋が広がる披露宴・結婚式事業を開始し、全盛期には年間平均50組の夫婦が式を挙げた。

 2000年代に入ると結婚式の利用は減少したが、高校・大学のクラブ活動の合宿施設に切り替え、夏休みには毎年多くの生徒、学生が訪れ、美しい景色を楽しみながらの食事が自慢の施設は、歴代の知事もお忍びで足を運んだという。

 辻井さん夫婦は今年で結婚50年。2人3脚で半世紀の長きにわたり、店を守ってきた。コロナ禍も乗り越え、惜しまれながらの閉館となるが、2人は「私たちの体力も思うように続かず、結婚50年という節目もあり閉館することを決意しました。ここまで続けてこられたのも、お引き立ていただいた皆様のおかげです」と感謝している。

印南の辻井旅館 惜しまれつつ7月末で閉館” に対して3件のコメントがあります。

  1. 匿名 より:

    永寿殿の 第1号で結婚式をして頂いた夫婦です。私達も 結婚44年を迎える歳になりました。子供二人 孫七人幸せに暮らしております。旅館の前を 通る度に結婚式の事を懐かしく想い出していました。
    閉館は 寂しいですが 長い間 お疲れ様でした。

    1. 辻井旅館の娘 より:

      心温まるコメントありがとうございます。
      辻井旅館の娘です。
      コメントに気付き、いてもたってもいられず、取り急ぎ
      父母に代わり 御礼申し上げます。

      コメント主様の想い出の場所として
      長らく 想って頂いた事に心より感謝申し上げます。
      主様の想い、お心遣いが
      父母にとっての残りの人生に
      誇りを持ち暮らせる糧となる事でしょう。
      そして、残念ながら
      残す事が叶わず申し訳ない気持ちで一杯であります。
      ただ、これからもたまにフッと思い出して頂けると幸いです。
      コメント主様、そして当館をご利用
      関わって下さった皆様の
      ご多幸を心より お祈り申し上げます。

  2. カノッサ より:

    Googleマップで和歌山を見ていて、偶々辻井旅館を見つけ、そこから、調べると閉店されていたのを知りました。驚きました。
    私は、長男君と同級生です。東北の岩手のことを知ったのも彼と出会ったからでした。旅館には泊まったことはありませんが、自宅の方には何度も遊びに行かせていただきました。料理をご馳走になったこともあり、当時としては食べたこともない料理でびっくりしたのを覚えています。ありがとうございました。
    あれから30年近く経ちましたが、月日が経つのが早いものだと感じます。
    創業から55年、本当に長くご苦労様でした。

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