黒竹の苗をバックに金﨑さん

 遊休農地を活用し、日高町特産の黒竹の安定した生産量の確保につなげようと、原谷の有限会社金﨑竹材店代表、金﨑昭仁さん(64)が会長を務める「黒竹を守る会」が企画提案した「耕作放棄地への黒竹植栽の取り組み」が、県の2023年度農業農村活性化支援モデル事業の採択を受けた。今年度から3年間の取り組みをスタートさせる。

 質、生産量で日本一の黒竹が、獣による食害や竹の病気に見舞われ、生産量が激減するなか、近年増え続ける遊休農地を活用し、特産の黒竹を植栽。安定した生産量の確保につなげるとともに、県民に知ってもらおうと申請した。

 継続的な取り組みとして、一般を含め主に小中学生を対象にした体験を通し、「わがまち自慢、わがまちの特産品」をアピール。SNSを活用して取り組みを発信していく。日高町や日高広域観光振興協議会、商工会のイベントにもPRのため参加し、新商品の開発も進める。

 具体的には、1年目の今年度は長期間放棄されて耕作不能な状態の田の草刈り、石垣の修繕、土壌改良の作業を行い、苗を準備。2年目に対象地約8㌃のうち約6㌃へ植栽し、3年目に獣の侵入を防ぐためのフェンスを設置する。苗は300本ぐらい用意する予定。植栽は一般をはじめ地元小中学生に呼びかけるほか、竹工芸家・四代目田辺竹雲斎氏の弟子を招いた民芸品づくりや加工、伐採の体験を実施する。

 金﨑さんは「耕作放棄里をうまく利活用して生産量をカバーするとともに、熊野古道が通る日高町の景観もよくする結果につながると思っています。体験や情報発信、イベント参加を通じて特産品を知ってもらい、竹や竹細工に興味を持って生業する人にも期待。地元企業や学生らとのコラボで新商品の開発にもつなげたい」と意欲。「これらには地元の方の協力が必要です。情報発信に努めますので、かかわってもらえれば」と話している。

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