
本作品は、2018年集英社オレンジ文庫より刊行。2022年10月にTVアニメ化されています。作者の白川紺子は、2013年にコバルト文庫から刊行された「嘘つきなレディ」でデビュー。コバルト文庫から作品を出しつつも、2015年の「下鴨アンティークシリーズ」からはオレンジ文庫にも進出。5年あまりのキャリアで20作以上もの作品を世に送り出している人気作家さんです。
あらすじ 後宮の奥深くに、妃でありながら夜伽をすることのない、「烏妃(うひ)」と呼ばれる特別な妃が住んでいる。その姿を見た者は、老婆であると言う者もいれば、うら若い少女だったと言う者もいた。彼女は不思議な術を使い、呪殺から失せ物探しまで、頼めばなんでも引き受けてくれるという――。ある夜、時の皇帝・高峻(こうしゅん)が、烏妃のもとに訪れる。拾った翡翠の耳飾りに女の幽霊が取り憑いており、その正体を知りたいと言うのだが…。少年時代、生母を皇太后に殺され、廃太子となって辛酸を舐めた高峻。神に選ばれし者と言われ、皇帝をして「誰も烏妃には命令できない」と言わしめる存在として生きる寿雪(じゅせつ)。二人の巡り合わせは、歴史をも覆す「秘密」を暴くことになる…!
中国王朝時代の歴史ファンタジーで、不思議な力を持つ(夜伽をしない)烏妃と帝とのやりとりを軸に、後宮内での失せ物探しや幽鬼送りなどが描かれる短編集的な構成になっています。短編集的といっても、少しずつ明らかになる異端的な烏妃の存在や彼女の内なる苦しみなどが、物語が進むにつれて見えてきます。ルビが振ってあり漢字も多く、比較的読み易い一方で、中華ファンタジーということで、漢字でも意味や正確な描写が判らないものもあり、勉強にもなる作品でした。「そういうことだったのか…!」と思う伏線もしっかり練り込まれていて、小説そのものとしても面白く読める作品です。(米)


