今年3月に他界した世界的音楽家の坂本龍一さんが、そういえば30年ほど前にダウンタウンと一緒に本を出したことがあったなと思い出して、引っ張り出してみました。

 内容 坂本龍一のマネージャーがダウンタウンファンだったことから、すべては始まった。彼女と一緒に「ガキの使いやあらへんで!」の公開録画を見に行き、終了後に楽屋を訪ねて2人があまりに不愛想なのに驚く坂本。もう会うこともあるまいと思っていたが、なぜかその後、ニューヨークの坂本のもとに「ダウンタウンが坂本龍一のプロデュースでラップをやりたいと言っている」と連絡が入る。半信半疑で引き受けた坂本だったが、実際に顔を合わせた瞬間から3人の間には不思議なノリが生まれ、企画はどんどん加速度的に進行していく…。

 畑違いの両者が出会って生まれたおかしな企画「ゲイシャ・ガールズ」の舞台裏を詳細にリポートした、「お笑い×音楽」の一つの実験記録という意味合いのもの。ファン以外には面白くもないかもしれませんが、プロのクリエイティブな仕事をつぶさに描写してくれる点が、創作の舞台裏を知りたい人には興味深い一冊となっています。3人の不思議な仲良しぶりもほほえましい。

 ただ坂本さんは2000年代以降、ダウンタウンの「強者の笑い」が、弱者を迫害するような社会の風潮(当時)をつくっていったのではないかとする持論を持っていたようで、出会いは束の間で終わり、両者が再び相まみえることはありませんでした。

 私は、この短いスペースでは到底書ききれませんが坂本さんの持論については「それは違う」と思っています。坂本さんには、還暦を迎える年頃になった2人にぜひもう一度会って話してみてほしかったと思い、それがとても残念です。(里)

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