今月6日に英国ロンドンで、エリザベス女王以来70年ぶりにチャールズ国王の戴冠式が行われました。今月のテーマは「英国王室」とします。

 「春山行夫の博物誌Ⅳ 宝石」(春山行夫著、平凡社)

 戴冠式で注目されたのが、戴冠式でチャールズ国王の頭上に冠せられた「聖エドワード王冠」、ウエストミンスター寺院からバッキンガム宮殿へ向かう際に冠した「大英帝国王冠」。名のある宝石を紹介した本書では、大英帝国王冠を飾るダイヤモンド「カリナン」について詳細に記されます。

  * * *

 ウェルズは、穴の側壁の上のほうで、なにかが夕日をうけて強く光っているのをみとめた。小刀でそれを掘りだしてみると、片手では握れないくらいの青白色の大きなダイアのかたまりであった。目方は3024と4分の3カラット。鉱山の会社の会長の名前をとって「カリナン」と命名された。(略)

 中心に一本の筋が入っていたので、それを避けてできるだけ大形のものに分割することが必要だった。これは世界的な宝石師アッシェルにとっても至難な仕事だった。最後にノミを入れる時には、もしも失敗した場合には気絶するかもしれないというので、隣室に医者がつめかけて結果を待った。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA