今年は、日本でテレビ放送が開始されてから70周年。NHK総合の70周年記念特別番組「アナテレビ」を視聴した◆NHKと民放各局のアナウンサー6人が集結。「アナウンサー」という職業について語り合った。印象に残ったのは、災害現場にメーンキャスターが赴くことの是非の討論。「報道陣が大勢行くと地元の迷惑になる」との意見が出され、現地に向かうことを自粛するのが良識であるとの見解に傾きかけた時、テレビ朝日の大下容子アナウンサーが「キャスターが現地に行く意義は非常に大きい。自分自身の目で見て初めて分かることは必ずあり、それを広く伝えることこそ重要」という意味のことを述べた。真剣な表情と力のこもった声に信念を感じた。活字と異なり、テレビは発言者の心情や場の空気まで見せてくれる◆もう一つ、テレビの本質的な役割を考えさせられたのがフジテレビ系の新番組「まつもtоなかい」。元SMAPの中居正広さんとダウンタウンの松本人志さんがMC。初回ゲストは元SMAPの香取慎吾さんだった。中居さんと香取さんのテレビでの共演は6年ぶりである。香取さんは画面に登場してからしばらく、胸に迫る万感ゆえか一言も発しなかった。最初の言葉は「中居さん、お久しぶりです」。「中居さん」と他人行儀な呼び方を続け、「中居くん」とかつての呼び方に戻した瞬間、笑顔をつくっていた中居さんの目から涙がこぼれたように見えた◆画面の向こうの人達も熱い感情を持った個々の人間であるという当然の事実を、テレビは映し出す。時として、そこに時代の空気がそのまま反映される。かつてほどの勢いはなくとも、「人」を映すことで時代を映すという、メディアとしてのテレビの価値は不変である。(里)


