
数年前に日高郡や田辺市、西牟婁郡で梅生産農家の倉庫から梅干しが樽(たる)ごと盗難、転売される事件が相次いだことを受け、紀州梅の会梅干部会が対策として梅干し樽の新たな中袋を考案した。これまでの樽の外に張る生産者シールに加えて、中袋にも同じ生産者の名前を記入できるよう白い印刷を施し、両方が一致することで正規ルートの商品であることを証明。今年産は移行期間とし、来年産の7月干し分から本格導入する。
同部会は紀州みなべ梅干協同組合、紀州田辺梅干協同組合、JA紀州、JA紀南、紀州みなべ梅干生産者協議会、JA紀南生産販売委員会梅部会梅干分科会、田辺市、みなべ町で構成。これまで梅干し用の樽の外側には生産者の名前などを記入した「生産者責任シール」を張り付け、管理・販売していたが、生産農家の倉庫から樽ごと盗まれ、シールを張り替えたうえで転売される事件が起きた。現在、梅干し樽の中袋は無地となっているが、新たな中袋には縦5㌢、横10㌢の長方形の白い印刷を施し、生産者の名前を油性マジックで記入または油性スタンプで押印できるようにしている。樽外側のシールと中袋にある生産者名が一致すれば盗難や転売品でないことの証明となる。中袋の印刷はシールと違ってはがすことができず、別のシールを上から張るようなことをすれば偽装であることが判明。また、印刷部分には「紀州梅の会梅干部会」の文字を白抜きして、より偽装しにくいよう工夫。万が一、梅干し樽が盗難されても転売が難しくなると期待される。新しい中袋は今年10月から関係団体などで販売される。
濱田洋部会長(70)は「紀州梅ブランドのイメージを守っていくため、生産者が個々に対策するより、統一した取り組みにする方が効果的かつ経済的。生産者にも自分の生産したものに責任を持つという意識を高めていただきたい。新たな対策が盗難や転売の抑止力になれば」と話している。


