美容や健康効果が期待できると注目されている海藻「アカモク」の収穫が由良町で始まり、衣奈漁港の施設で食品加工が行われている。紀州日高漁協戸津井支所の組合員でつくるあかもく会(中村和孝会長)のメンバーが収穫して加工。中村会長(74)は「今年は順調に生育し、品質もいい。ぜひ味わって」とアピールしている。
アカモクは沿岸の浅瀬で春に成長する海藻で、長いものでは10㍍近くになる。東北や北陸地方などで食べられているが、その他の地域では船のスクリューに絡みつく“邪魔物”として扱われることが多い。県内では2016年に同漁協が「春の特産品に」と初めて商品化し、由良町の小引や戸津井で水揚げされたアカモクを「紀州あかもく」として販売。肌の老化予防や整腸作用に効果があるとされる食物繊維の一種「フコイダン」を多く含み、美容や健康効果が期待できるという。
今年も先月25日から収穫が始まり、組合員らが漁船から鎌で刈り取り。昨年の収穫量は台風の影響で1㌧にとどまったが、今年は今月11日まで計5回で1・5㌧を見込んでいるという。
食品加工は水洗いして湯通し、粘りを出すためにミンチ器で細かく切断。100㌘(300円)、500㌘(1300円)の袋詰めにし、日高地方のスーパーや直売所などで販売される。
町内の飲食店などではアカモクを使ったどんぶりなどが提供されているほか、日高郡の学校給食の食材でも使用。食用以外でも用途が広がり、近年では近畿大学が美容液「AKKYURA」に配合して販売。ほか、磯焼け対策の藻の一種としても注目され、県水産試験場は昨年度から試験研究を始めた。藻を食べるブダイやアイゴなどの活性が低い春先に急激に成長するため、魚からの食害が避けられることが期待できるという。