2010年に初版が発行され、累計50万部を突破しているビジネス書のベストセラー。発行当時、大学の先生から勧められて購入しました。先日、ある書店に行くとこの本が平積みで置かれていて「今も根強く支持されているんだ」と思い、家の本棚から引っ張り出して再読しました。
著者の安宅氏は東大院卒業後、世界で最も入社するのが難しいといわれているアメリカのマッキンゼー・アンド・カンパニーに入社。帰国後はヤフーに転職し、まさにビジネスの第一線を走るトップランナーです。裏には「『根性』に逃げない。労働時間なんてどうでもいい。価値のあるアウトプットが生まれればいいのだ」と記されています。本書は「最小限の労力で最大限の成果を出す」というプロセスについて、その考え方を詳細に解説しているのです。
イシューは英語で「問題点」とか、「争点」を意味しています。本書ではイシューを「白黒はっきりしていない根本的な問題」と定義し、イシューを「見極める」力が大切であるとしています。何も考えずに問題をクリアしようと、もがけばもがくほど時間と労力の無駄。クリアすべき問題は何なのか、それを細分化し、仮説を立てて検証していった方がよほど効率がいいというわけです。
仕事の効率化で、絶対にやってはいけないのは「一心不乱に大量の仕事をして問題解決を目指そうとすること」。著者はこれを「犬の道」と呼んでいます。裏表紙にあった「『根性』に逃げない」はまさにそういうことで、一昔前の努力と根性論では決して価値のある仕事は達成できないと言っています。なるほど。
現在は働き方改革も推進され、仕事への向き合い方も変化していますが、13年前はまだ改革の過渡期だったと思います。今なお続く本書の支持を考えると、この本は働き方を見直すことができるいいきっかけになるなと思わされました。 (鞘)