南谷地区で進んでいるアパート建設。奥は既設の賃貸アパート

 印南町は今年度から、賃貸住宅を建設する民間事業者に対し、その費用の一部を補助する「民間賃貸住宅等建設補助事業」をスタートした。人口減少が深刻化する中、賃貸住宅(アパート)を増やすことで若者や子育て世帯の定住につなげることが目的。最大300万円を補助する。

 町の人口は昭和の合併から3年後(1960年)の国勢調査で1万2655人となったが、少子高齢化に伴い2000年には1万人の大台を割って9769人まで減少。さらに昨年2月には8000人を切り、今年2月末現在で7878人となっている。

 町は以前から若者定住促進条例に基づきさまざまな施策を展開。印南地区の高台を宅地として整備し、道路拡張や下水道整備などを行う未来都市事業(19年開始)や、町内に新築住宅を建てた場合に最大100万円の費用補助、賃貸住宅で月の家賃最大2万円を助成する制度などを実施している。

 担当の企画産業課によると、町内の若い夫婦などは親世代と同居せずに賃貸アパートを借り、その間に自分たちの家を建てるケースが多い。そのため、アパートの入居状況もほかの夫婦が入れ替わる形ですぐに埋まり、需要がある状態が続いているという。事業は、アパートを増やすことでこのような世帯が町外に流出しないようにするのが狙い。家賃助成や新築住宅費用の補助制度と合わせて活用してもらうことで、若い世帯の定住を図る。

 賃貸住宅の建設は1事業に対し300万円を上限に補助。民間住宅および企業の従業員宿舎が対象で、建物は▽4戸以上の長屋もしくは共同住宅▽町の若者定住促進条例に規定する賃貸住宅へ登録を行う――などが要件となる。今年度予算は600万円を計上しており、すでに南谷地区では今年秋の完成に向けてアパートの建設が進められている。企画産業課は入居状況などをみながら、規模に応じて長期的に事業を行いたいとしている。

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