遺構を見学する来場者

 日高川町土生地内、大成中学校南の県道沿いで10日、東郷遺跡発掘調査の現地公開が行われ、地域住民や小中学生が参加した。


 県道通学路緊急対策事業の道路拡幅工事に伴う遺跡の発掘調査で、昨年末から公益財団法人県文化財センターが同町の株式会社坂本組(坂本隆代表取締役社長)と道路の両サイド計約320平方㍍で実施してきた。1986年に道成寺駅周辺で大規模に調査された東郷遺跡の北東に位置しており、今回の調査では、つぼの底部分と思われる須恵器や皿の欠片、素焼きの漁網の重りなどが出土し、鎌倉から室町時代の中世のものと考えられる。遺構(人の手によって掘り下げられた痕跡)ではいくつもの土坑や溝も見つかり、道路南側では水が湧き出すポイントとそこを囲むように大きめの石がたくさんあり、石組みの井戸の跡だった可能性があるという。


 現地公開では、訪れた人に文化財センターの技師濵﨑範子さんが遺構や遺物について紹介。「今回の調査エリアには、柱など住居の痕跡はなく、当時の居住地域のすぐそばの水場のような場所だったと考えられます」などと説明。「皆さんが住んでいる地域の足元から、歴史に思いを馳せる機会にしてもらえれば」と話していた。

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