県立南部高校は2024年度から、生徒たちに学校と企業での同時並行の学びを提供する「南高版デュアルシステム」を導入する。学校での授業や部活動に加え、新たに年間を通じた企業や事業所での実習を行い、社会で一層活躍できる人材を育成。受け入れ企業には御坊・田辺エリアの47企業が協力、第1期生として新2年生7人(男2、女5)の参加が決まっている。

 デュアルは「2つの」という意味の英語で、学校でのデュアルシステムは学校と実社会での2つの学びを実践するキャリア教育。全国的には2004年度から大阪の布施北高校が文科省推進の日本版デュアルシステムの研究校となり、日本で初めて導入。和歌山県内では1年間を通じた本格的な企業実習プログラムを実践するデュアルシステムは南部高校が初めて。 

 同校では従来から授業や部活動、登下校などを通じてあいさつ、社会人としてのマナー、コミュニケーション能力、実践力の育成に取り組んでいるが、地域社会での仕事を実体験することで、レベルアップを図るのが目的。将来的な進路選択の参考にもしてもらう。来年度以降、普通科2年生を対象にした選択授業となり、生徒は希望の企業などを一つ選び、週1回、年間20回程度、その職場に朝から出勤し、社会人に交じって仕事をする。

 導入に向けては職員6人のチームを結成し、先進校の視察や布施北高校にデュアルシステムを導入した中嶋義博教諭を迎えての研修を重ね、システム内容を練り上げてきた。地域の企業や事業所にも足を運び、実習受け入れ先を開拓。製造・建設、販売・サービス、保育・教育、介護・福祉の各分野がそろった。1期生の7人は菓子製造業や保育園、ホテル、美容室などを選択している。

 同システム担当者の種治宏樹教諭(45)は「2年ほど前から準備を進めてきた。生徒たちには親や先生とは違う、社会の人と関わることで、新たな気付きを得てもらいたい」と話している。