和歌山市小松原通の日赤和歌山医療センター (百井亨院長) が最新の手術支援ロボット 「ダ・ヴィンチSi」 を導入し、 近く前立腺がん摘出など泌尿器科分野の手術で運用を開始する。
 ロボット支援手術は、 開腹せずに内視鏡等を体内に挿入して行う腹腔鏡手術が進化した術式。 医師が3次元画像のモニターを見ながら、指先に装着するコントローラーを動かし、患者の体内に挿入する電気メス等の鉗子(かんし)を遠隔操作する。県内では昨年、県立医科大が最も早く、近畿で4番目に導入した。
 今回、日赤が導入したのは医大のダ・ヴィンチがさらに進化した最新型で、術者2人が同時に別々の鉗子を操作できるデュアルコンソールシステムとなったのが最大の特長。モニターの3次元画像がより精細になり、泌尿器科領域に近い婦人科や消化器科領域の腫瘍切除なども同時に行うことが可能になる。
 2日にはマスコミ向けの内覧会が開かれ、第二泌尿器科の金岡俊雄部長(60)らがダ・ヴィンチの特性、国内外の臨床使用の状況、今後の展開などを説明。参加した新聞記者やテレビ局の記者が操作を体験した。
 金岡部長は「当センターは、がん診療連携拠点病院、高度救命救急センター、地域医療支援病院の3つに指定された県内唯一の医療施設で、地域医療の水準向上を目指し、他病院との連携、後進の育成も大きな使命。この操縦席が2つになったダ・ヴィンチは熟練の医師が若い医師を実践指導できるメリットがあり、今後、柔道の嘉納治五郎先生の『精力善用、自他共栄』の言葉のように、ダ・ヴィンチの持つ力をうまく使って広く貢献していきたい」と抱負を述べた。