大正、昭和、平成、令和と4つの時代をまたぎ地域経済の発展を支えてきた御坊市藤田町藤井、大手総合化学メーカー旭化成株式会社和歌山工場の撤去工事が進み、地元住民からシンボルとして親しまれていた煙突の解体も始まった。敷地面積は約2㌶あり、同社は更地にして有効活用を検討。今後、市としても企業誘致を推進していく考えだ。

旭化成和歌山工場敷地内で防護シートで覆われた煙突の解体もスタート

 同工場は1920年、前身の南海紙業が設立され、機械製紙をスタート。70年から土木用塗料に使用されるアクリルラテックス、09年から住宅外壁用の光触媒塗料の生産を行ってきたが、国内市場の需要落ち込みで事業から撤退することになり、23年1月に生産終了していた。工場などの撤去工事は昨年4月から進めており、来年2月に完了予定。現在、工場の建物はほぼ撤去が終わり、煙突は工事用防護シートで覆われ、「105年間ありがとうございました」と書かれた懸垂幕が掲げられている。50年ほど前に工場で働いていた市内の70代主婦は「当時はたくさんの人が働いていて活気がありました。煙突もなくなるのはなんだか寂しい気がしますね」と話していた。

 工場の跡地については今年6月に世耕弘成衆議院議員が企業関係者とともに進出候補として現地を視察。御坊市も旭化成との協議で企業誘致を推進していこうと、資料づくりなど準備を進めている。同市内では現在、塩屋町北塩屋の御坊工業団地が完売しており、先月28日には日高港工業団地も最後の1区画の利用契約候補者が決定した。熊野の御坊工業団地は面積が21㌶あるが、現在は山林や畑で手つかずの状態となっており、進出希望を受けてから用地を整備するオーダーメイド方式で、余分な整備コストを抑えられる半面、利用には一定の時間がかかる。