
今回紹介する本は、やなせたかしさんの平和への思いがこめられた「ぼくは戦争だいきらい」です。この本はやなせさんが自身の戦争体験を語ったもので、自伝などで戦争について話したことはあるものの戦争体験だけをまとめたものはこの本が初めてだったそうです。
やなせさんは、辛い記憶が残る戦争のことを思い出すのも話すのも嫌なことでした。しかし戦争体験を語ることができる人が減っていき日本が戦争をしたことが忘れ去られていくと感じ、自分の経験を話すことで過去の戦争のことが読者の記憶に少しでも残ればいいと考えこの本を綴られました。
やなせさんは昭和15年に召集され小倉の部隊に入隊しました。絵を描くのが得意だったので軍のポスターや看板などを描く仕事を任されていましたが、その後中国へ派遣されるこになります。そこで食糧不足やマラリアに苦しめられ、死の恐怖を味わいます。その時の経験がやなせさんの代表作となるアンパンマンの誕生につながります。
やなせさんは戦争の原因は「飢え」と「欲」ではないかと本書で訴えています。アンパンマンの中で描こうとしたのは、分け与えることで飢えはなくせるということと、嫌な相手とでも一緒に暮らすことはできるということ。作り話だからできることだとは言わずに真剣に考えてほしいと読者に訴えています。この本が刊行されてから10年以上が経ちましたが、今も世界では戦争が絶えず多くの犠牲者が出ています。戦後80年を迎える今、やなせさんが私たちに与えてくれた言葉の意味を改めて考えたいと思います。(彩)

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