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連日のように各地の高温が報道されています。8月のテーマも7月に引き続き、「涼」とします。
「優しさごっこ」(今江祥智著、新潮文庫)
「かあさん」が家を出て行ったあと、とうさんと小学生のあかりが一生懸命に生きる。夏の味覚アユが涼しげに描かれます。
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川魚は逃げ足が早くて、結局あかりは小さなのを一ぴきすくえたきりだったが、冷たくきれいな川に入って遊べただけで満足していた。藤田さんもそこのところはちゃんと知っていて、すくった数にはふれなかった。そして、家にもどってから、生けすに入れてあるアユを、あかりにすくいとらせてくれた。あみから手づかみにアユをとりだしているうちに、よく知っているにおいが手についたのに気づいて、かいでみた。アユをつかんだはずなのに、手には魚のにおいはなく、スイカのにおいがした。藤田さんは(略)水ごけしかたべないから、そうなのかもしらへんし、そんなアユばっかりたべてると、おなかのなかまできれえになって、きれえな女(おなご)はんになれますやろなあ…と、笑いながら言った。


