危険な暑さが続いている。休日も昼間はなるべく外出しない方がいいが、それを承知で行かねばならないこともある。3日に御坊市で開かれた日高大空襲を語り継ぐ会には、シニア世代を中心に130人もの人が詰めかけた。

 主催は御坊商工地歴社研部の1986年度卒業生OB会。日高大空襲とは、昭和20年6月22日に御坊と美浜に3機のB29が飛来し、63発の爆弾を落とされ、一般市民と兵士も含め計80人の命が奪われた出来事をさす。

 戦後30年の昭和50年から約10年間の歳月をかけ、地理歴史部と社会研究部の生徒たちが日高地方各地の空襲現場を訪ね、被害者家族や目撃者に直接話を聞いて事実を調べた。

 その際、顧問の中村隆一郎教諭(故人)は「市史や町史には空襲による死傷者が何人だったという記録はあるが、どこの誰が亡くなったのかという情報は載っていない」と指摘し、犠牲者を数字にせず、一人ひとりの名を残すことで戦争の実態がより伝わることを強調されたという。

 今回は当時、東京から御坊へ疎開し、日高高等女学校1年生だった千葉の花澤怜子さんを招き、花澤さんの体験談を聞いたほか、空襲で同級生が亡くなったことや煙樹ケ浜で艦載機の機銃攻撃に遭った恐怖を描いた花澤さん自作の紙芝居が披露された。朗読した日高高校の生徒たちはみんな、今回の取り組みを通じて自分たちの地域でも戦争があったことを知ったという。

 実際、会のタイトルの「日高大空襲」という言葉はほとんど聞いたことがない。本や冊子には記録されているが、人々の記憶にはあまり定着していない。記者として、高校生とともに受け継いだ記録を広く人々の記憶に残していきたい。    (静)