
カツオの水揚げ28年連続日本一を誇る宮城県気仙沼市で20日、「かつお溜め釣り漁伝来350年記念シンポジウム」が開かれ、かつお節発祥の地、印南町からふるさと歴史文化研究室の坂下緋美代表が参加した。講演講師やパネルディスカッションのパネラーを務めた坂下さんは、印南漁民4人が江戸時代、気仙沼に移住した記録が残っていることをあらためて紹介し、「遠く離れた地にも縁があることに感動した」と発表した。
カツオの一本釣り漁の原型である「溜め釣り漁」は江戸時代初期の1675年に紀州(現在の新宮市)の漁師たちから伝えられたとされる。350年の節目を記念してシンポジウムが開かれ、カツオつながりで熱心に歴史を研究している坂下さんに声がかかった。坂下さんは気仙沼市史に印南漁民4人が1691年に気仙沼大島に在住したことが掲載されていることを知っており、以前から訪問したいと思っていたところに今回声がかかり、快諾した。
話題提供として約30分間、パワーポイントを使って「かつお節発祥の地・紀州印南におけるかつお漁・かつお節の歴史文化の伝承活動」をテーマに講演。かつお節を考案した角屋甚太郎、鹿児島県枕崎に広めた森弥兵衛、関東に広めた印南與市の印南漁民三人衆の功績をたどってそれぞれの地域を訪ねて研究したことや、子どもたちに伝える取り組みをしてきたことを説明。伝吉、門次郎、六郎左衛門、二平太の印南漁民4人が気仙沼にわたったあと、大島村の鰹船は38隻となり、全村民の3~4割に当たる494人が漁業に従事し、「印南からの来往者による技術指導の成果」と気仙沼市史に記載されていることを紹介。「気仙沼にご縁を頂いたことを、印南人を代表して心から感謝申し上げます」と締めくくった。
坂下さんは「江戸時代に遠く離れた気仙沼に印南漁民が渡ったすごさを肌で感じることができ、あらためて感動した。4人がどのような活動をしたのかはまだよくわかっていないので、これからも出来る限り調査をしていきたい」と話している。


