
本書は経済書である。これを著した齋藤氏は日本で金融危機が起こることを予言した経済アナリストであった、1997年、三洋証券が破綻し、続いて北海道拓殖銀行と山一証券の連鎖倒産へと繋がることが起こった。
著者がヘッジファンドを相手に日本に金融危機が起こると予言した時、それを聞いた大蔵省の榊原財務官は「日本のシステムを知らずに馬鹿なことを云っている奴がいるが、日本で金融危機が起きるわけがない」として一顧だにしなかった。しかし、この大蔵省の判断が間違っていたことが後に露呈した。ではなぜ著者が日本の金融危機を予言できたのか。それは著者の来歴によるところが大きい。著者の齋藤氏は日本の大手メガバンクで働いていたが、日本の金融システムに疑問を持ち、アメリカのジョンズ・ホプキンス大学院で金融システムを研究した。その後アメリカの金融コンサルティング企業「G7グループ」で働き、これが外から日本の金融事情を俯瞰することとなり、日本の状態を見抜くことができたといえる。
著者が投資家から質問を受ける一つに、「ヘッジファンドとは何か?」という質問がある。「レバレッジ(梃子)をかけて投資を行う」と答えている。元手よりはるかに大きな金額を動かして取引することを意味する。海外の大都市に拠点を置き、その郊外に荘園屋敷を自宅にするような人々だという。
最後に、日本にとって市場は敵ではなく味方の時代が到来すると予言する。それには――政権与党が安定していることが条件だ――、としている。(秀)


