大阪・関西万博が4月13日開幕し、88日目となる先月29日、来場者数が1000万人を突破した。暑さが厳しくなる中、多くの家族連れらで連日にぎわいをみせている。万博には世界158の国と地域、7つの国際機関が参加。各国の最先端技術や文化などがパビリオンで展示。世界最大級の木造建築の大屋根リング(延長2㌔)も注目を集めている。

 筆者も取材を兼ねて会場を訪れる機会があった。パビリオンだけでなく、屋外のステージに目を向けると、さまざまな国や地域の人々が歌や踊りを披露し、観客も一緒に楽しんでいた。言葉も文化も異なる人たちが、笑顔を通じて触れ合う光景は、まさに国境を超えた交流といえるだろう。

 しかし、今、この世界で起きている現実を忘れてはならない。ロシアによるウクライナ侵攻は4年目に突入し、終わりの見えない戦争が続いている。中東でもイスラエルとイランの武力衝突が起こり、現在は停戦状態にあるとはいえ、予断を許さない状況だ。日本は今年で戦後80年を迎えるが、歴史からみれば平和で戦争がなかった期間はわずか。先月には日本の哨戒機に中国の戦闘機が接近したというニュースが流れたし、北朝鮮からのミサイルも日本海に向けて発射されている。今の平和が未来永劫と続く保証はどこにもないだろう。

 大阪・関西万博のテーマは「いのち輝く未来社会のデザイン」。この言葉は、単に技術や経済の発展を追い求めるだけではなく、未来の人類がどのような生活を過ごすのかも問われる。戦争によって命が失われることのない、命が輝く未来をどう設計するのかが重要で、笑顔があふれる万博から命の価値を見つめ直さなければならない。(雄)