第27回参議院議員選挙が3日公示され、20日投開票まで17日間の舌戦がスタートした。和歌山選挙区は共産党の前久氏(69)、自民党の二階伸康氏(47)、無所属の望月良男氏(53)、日本維新の会の浦平美博氏(53)、無所属の末吉亜矢氏(54)、NHK党の本間奈々氏(56)、参政党の林元政子氏(51)の新人7人が立候補。保守分裂、野党乱立に伴い過去最多の出馬人数で、各候補者が和歌山市内で第一声を放ち、物価高騰対策や少子化問題、産業振興などを訴えた。

 前候補は和歌山市一番丁の和歌山城一の橋前で出発式を行った。物価高騰について「生活ができない、商売が成り立たないという悲痛な声が寄せられている」と訴え、「今回の参院選は、こうした声にどう応えるのかが大きな争点だ」と強調。最も効果的な対策として消費税の減税を挙げ、「すべての品目の税率を5%に引き下げれば、1世帯あたり年平均12万円の負担軽減となる。食料品だけを非課税にしても6万円にとどまり、2倍の効果が見込まれる。ぜひ引き下げを実現したい」と力を込めた。財源は「現状、優遇されている大企業や富裕層に応分の負担を求めれば、十分確保できる」と主張した。

 最低賃金に関して、和歌山と大阪で134円の差があり、大阪に出稼ぎに行く人が多い現状を指摘。「全国一律で1500円にすべきだ」と訴えた。さらに医療や介護分野にも言及、「命を守る医療や介護にこそ予算を投じる政治に転換しなければならない」とし、防衛費の増額は「暮らしを壊す大軍拡だ。憲法を守り、平和外交にこそ力を注ぐべきだ」と懸念を示した。

 二階陣営は和歌山市美園町のJR和歌山駅前で出陣式を行い、県内の首長や議会議員、支持者ら約500人(主催者発表)が参集。自民党県連の石田真敏会長が「将来の日本に責任を持つ。そういう政策を、二階伸康を先頭に頑張る」とあいさつ。鶴保庸介参議、宮﨑泉知事、尾花正啓和歌山市長、岡本章県町村会長も共闘を誓った。

 二階候補は高校時代のバスケ部仲間が寄せ書きしたお立ち台の上でマイクを手にし、「私は昨年の衆院選で落選したが、ふるさとのために、どうしてもなすべきことがあって、もう一度挑戦させていただいている。東京の一極集中が止まらず、地方の人口減少が止まらない。政治がこれを放置してはいけない。いまこそ地方の声を国に反映させ、本当の意味での地方の時代を切り開かなければならない」と力強く第一声。地域経済の活性化や1次産業の振興、防災対策などに意欲をみせ、「政治は実行。皆さんの不安を正面から受け止め、即座に実行したい」と声を張り上げた。この日は紀北の各市町で出陣式を行った。

 望月陣営は和歌山市東蔵前丁の南海和歌山市駅前で出陣式。後援会長の神出政巳海南市長は、届け出順3番について、望月候補が元高校球児であることから、「〝ミスター〟長嶋(茂雄さん)がわれわれを見守ってくれているのではないか」と会場を沸かせた。

 友人でパティシエの鎧塚俊彦さんは「望月良男は(有田市長として)16年、しっかり結果を出している。国をよくするためには必ず望月の力が必要だ」と支援を訴えた。谷洋一県議も応援演説し、世耕弘成衆院議員が祝電を寄せた。

 望月候補は「今の日本、和歌山に足りないのは希望だ。政治には希望がなくてはいけない」とし、市長時代に取り組んだ産婦人科クリニック誘致などを例に、地域課題解決のために財源をつくるまでがセットで政治の役割だと強調。GX産業の推進などの政策を掲げ、「私たちが誇れる産業で利益を上げてもらい、所得を上げ、財源を生んでいく」と述べ、「(投票日の)20日が日本の政治が希望に変わっていく節目になるために、懸命に走り回る」と誓った。

 浦平候補は出陣式に先立ち、和歌山市加太の加太漁港で街頭演説を行い、地域住民や漁業関係者ら30人ほどを前に、第1次産業を中心とした政策や決意などを語った。

 「県も市も山や森のことは考えるのに、海の問題は長年見て見ぬふりをしてきた。漁業は私たちの食を支えていることを県議時代に知り、恥ずかしいと思った。本気で変えなければと決意した」と述べた。

 「海水温が上がり、これまでとれていた魚がとれなくなっている。命懸けで海に出る漁師たちが報われない状況を、政治の責任として変えていくべきだ」と強調した。

 さらに、海藻などが二酸化炭素を吸収し、その量を資金化する「ブルーカーボンクレジット制度を導入すべきだ」と主張。この制度の導入により「雇用も生まれ、環境もよくなる」とし、「和歌山から世界に広げたい」との考えを示した。

 最後に「全力で戦って、今までの政治のやり方では駄目なんだと示す」と力を込め、市役所前での出陣式へと向かった。

 末吉候補は和歌山市新八百屋丁の選挙事務所で出陣式を行い、約60人の支援者が参集。中谷哲久応援会世話人が「舞姫のように大きく羽ばたいてほしい」とあいさつした。

 末吉候補は、これまで続けてきた不動産の仕事の知識が強みだとし、「和歌山の不動産業界は若い世代がどんどん県外に出てしまう状況があり、どうにかして引き止めたいが、就職先や進学先が問題となって個人ではどうすることもできなかった。(県内にも)これ以上の人口流出を止めなければ、まち自体がなくなるところがたくさんある」と訴えた。

 若者の定着にまず力を入れ、起業家の育成を図り、空き家対策や第1次産業の振興、高齢者福祉の充実、子育て支援、女性の活躍などを重点政策に挙げた。

 「和歌山には今何が足りないか、何があればもっとよくなるかをずっと自問自答し、いつかこの経験を国政に生かしたいと思って活動してきた。私が戦う相手は他の候補者だけではない。若者のため、日本のため、これまでの経験の全てを生かして頑張ります」と誓った。

 本間候補は和歌山市の和歌山城公園にある護国神社で必勝祈願を行ったあと、同市役所前で第一声を放った。

 「今、自民党が真っ二つに割れ、チャンスが巡ってきた。和歌山県民に新しい選択の機会が訪れようとしている。二階王国で戦い続けてきた本間奈々にとっては感無量」と、自身の出発点である自民党王国和歌山崩壊のチャンス到来を強調した。

 米の価格高騰に関して自民党の農業政策を批判し、農家の所得を補償し、減反政策をやめさせる政策を提案。物価高で現役世代、年金生活の高齢者が苦しんでいる現状も訴え、「2万円配るくらいなら、最初からとるな。NHK党は消費税を廃止、インボイスもやめさせる。社会保険料を含めた国民負担率も下げさせることを実現する」と約束。中国問題、移民問題にも真正面から取り組むとし、「親中、媚中の自民党の政治家を倒す。そして17日間、NHKをぶっ壊すという言葉を和歌山にとどろかせる。既存政党を選ぶのではなく、本間奈々、N党を押し上げてください」と声を張り上げた。

 林元候補は和歌山市小松原の事務所で第一声。夫の林元光広市議が「きょうから17日間、県民の皆さんにいかに参政党、林元政子を知っていただけるかにかかっている。和歌山の明日のため、日本の未来のために活動していきたい」とあいさつ。続いて橋本市議の岡本喜好議員と牛田ゆか岩出市議があいさつした。  

 林元候補は「消費税率を上げるたびに法人税の税率が下げられ、リーマンショックを超える経済の停滞が起きた。経済が失速したら赤字企業、倒産企業が増え、法人税、所得税の税収が減る」と強調。「消費税がなかった30年前の強い経済状態を取り戻すことにより、和歌山のような地方、日本の経済は爆上がりすると考える。中小零細企業に利益を残すことは地元の企業やお店に富が循環する」と主張した。

 その他、子育て政策のお金の使い方や第1次産業への対応などを訴え、「日本人の誇りを取り戻す。日本人ファーストな政治を取り戻す」と力強く呼びかけた。