
ニューヨークで暮らす十二歳のクローディアと弟のジェイニーは両親の躾の厳しさに耐えきれず家出を決意する。家出の資金はジェイニーがお小遣で溜めた二十四ドル四十三セントだ。これだけで二週間暮らすことにする。隠れたのは世界三大美術館のメトロポリタン美術館だ。所蔵点数三十四万五千点、すべてを見るには十年はかかると云われている。
忍び込んだ翌日、二人は大変な人混みの行列と遭遇する。何だろうと思い二人もこの行列に並んだ。辿り着いたのはミケランジェロの「天使の像」であった。最近購入した二百二十五ドルの小像である。ミケランジェロがこんな安価なはずがない。その真贋を確かめようと人々が集まって来ていたのだ。姉弟はメトロポリタン美術館に隠れ泊まり込み、このミケランジェロの「天使の像」の謎を解くことに奔走するのだった。そしてそれは『ダヴィンチ・コード』(ダン・ブラウン著)よりも興味深い謎を秘めたものであった。
私がこの本を知ったのは、書評家の三宅香帆と池上彰の対談である。「子ども時代に影響を受けた本」として三宅香帆が紹介した。三宅香帆は「なぜ働いていると本が読めないのか」(新書大賞受賞)の著者(令和六年七月二十六日付本稿に紹介)である。
この本を挙げた理由は「子ども時代は何か『もやもや』したものがあっても、上手く言語化できない。そのときに、この本を読んで助かった」と述べている。
児童書と侮るなかれ。大人でも楽しめる名作だ。本著は米国・「ニューベリー賞」を受賞している。(秀)


