婚活連続殺人、木嶋佳苗死刑囚がモデルと思われる作品である。小説では梶井真奈子。「週刊秀明」の女性記者町田里香(三十四歳)の目線を通して描かれている。

 拘置所に収監された梶井に何度も取材を申し込むも取材拒否が続き、里香は梶井が料理が得意だったことを知る。なかでもバターを使った料理に異様に拘りがあることを掴む。梶井への手紙に、「あなたが被害者の山村さんに作ったビーフシチューのレシピがとても気になっています。一度、教えていただけないでしょうか」と書くと取材の了解がなされた。拘置所での会話は料理の中身のみ。梶井はバターをふんだんに使ったフランス料理が好みと語る。また料理の腕をあげるべく、銀座にある料理教室「サロン・ド・ユミコ」に通ったことや恵比寿の「ジュエル・ロブシャン」での食事を楽しんだことを話しだす。しかし事件の真相を語ることはなく、里香は梶井が少女時代を過ごした故郷新潟に事件の鍵があるのではないかと考え、友人の玲子と共に新潟へ向かう。その帰り道、玲子は実家に立ち寄るといって里香と別れた。しかし玲子は実家に寄らず行方不明となっていた。実は玲子は里香とは別に自分でも梶井への取材を試みていた。そして、梶井の事件には共犯者がいたのではないかという情報を玲子が掴んだことが分かってくる。

 本作品は料理のレシピやその味わいなども詳細に紹介されているが、その中心を占めているのがBUTTERだ。見ようによっては料理小説とも云えるかもしれない。そんな不思議なミステリーである。(秀)