前々回の本欄で紹介すべく「鴨川ホルモー」を再読した時、ビートルズの超有名アルバムジャケットと同じ構図で横断歩道をキャラクター4人が歩く表紙絵を見て「似たような表紙の青春物があったな」と思い出しました。

 物語 時は1965年春、ところは四国の田舎町。ラジオから流れるベンチャーズのギターが「デンデケデケデケ~!」と稲妻のように、高校入学を控えた「ぼく」を変えた。入学後、魚屋の息子白井清一、練り物屋の跡取り息子岡下功、お寺の息子で父に代わって法事もこなせる合田富士男と癖の強い同級生たちを仲間に引き入れ、「ロッキング・ホースメン」を結成。バイトに励んで念願の電気ギターを購入し、夏にはかずら橋の上流で「がいこ、がいこ」とやかましいセミの声を聴きながら合宿。町内の軽食喫茶スナック開店記念パーティーでデビューする。しかし観客のおばはん達には「ほんまにやかましなー。ジャズばあーっかしじゃな!」と言われ、反応は散々…。

 同じ60年代の高校生を描いた三田誠広「高校時代」のような小難しさは皆無。とにかくひたすらに弾きまくり歌いまくり、何を考えているか分からない女の子たちに悩まされる日々。ドがつくほど丁寧な細かい描写で田舎町の青春を再現し、読めば誰もが自分自身の「青春〇〇」を心に浮かび上がらせる。何のてらいもなく騒々しくも愛おしい日々を切り取った、王道ど真ん中の青春小説といえるかも知れません。大林宣彦によって映画化されており、本書の解説も同氏。「懐かしがってなんかいられない。誇らしく、凛凛しく、胸張って、元気に生き続けよう!」と締めくくられています。(里)