
「八月の御所グラウンド」で直木賞を受賞した万城目学のデビュー作、ユニークな青春ファンタジー小説をご紹介します。
物語 5月、京都では平安時代以来の歴史を持つ葵祭が行われる季節。京都大学新入生の安倍は葵祭でエキストラのバイトを務めた帰り、「京大青竜会」なる活動内容不明のサークルへ勧誘を受け、新歓コンパで安倍は美しい鼻を持つ早良京子に一目惚れ。正式な入会を決意する。
やがて1回生たちは、それが単なるレクリエーションサークルではなく、京都産業大学玄武組、龍谷大学フェニックス(旧名・朱雀団)、立命館大学白虎隊と、合わせて4者が499代にわたって戦い続けている謎の競技「ホルモー」を行うチームであることを知る。それは関係者以外の目には見えない身長20㌢ほどの式神「オニ」を1人につき100体ずつ駆使して行われる、不思議な競技。オニをすべて失い続行不可能となったプレーヤーは、口が勝手に動いて「ホルモオオォォォォォォーッ!」と断末魔の叫びを上げる…。
葵祭の季節になり、京都での学生時代を思い出させてくれる本書を読み返してみたくなりました。1000年以上の歴史が息づく古都を舞台に展開する、ぶっとんだ設定のファンタジー。新たな人間関係に胸がざわざわする感じ、他愛もないことで不器用にぶつかり合う感じなど青春ものならではの切なさを織り込みながら、細部までかっちりと緻密にルール設定された摩訶不思議な競技で熱いバトルが繰り広げられるあたり、とにかく無類の面白さ。爽やかな読後感は、薫風香るこの季節に読むのがふさわしいと思います。(里)


