
日高町(新設)・日高川町(建て替え)に風力発電の建設の動きが一昨年より始まっている。
本書の著者は和歌山日赤医療センターの内科部長であるが、低周波被害について全国から寄せられた相談を受け、診察結果も踏まえその医学的見地からの報告をまとめたのが本書である。
幾つかを紹介する。
愛媛県伊方町には四十二基の風力発電機が設置されている。
住民の声。「風車から二〇〇㍍の民家で家が揺れる。その騒音は『風切り音とモーター音』。昼間より夜の方がきつく、寝られず、頭が痛い。一か月で四キロ痩せた」。
風力発電会社からの住民への説明。
「ここまで大きな音がでるとは思わなかった」「音については、事前説明会で住民から質問がなかったから説明しなかった」。
愛知県田原市、久美原風力発電所の場合。
ここには渥美半島の付け根の小高い丘の上に風力発電機が一基だけ立っている。完全な平地と違って空気振動が比較的遠くまで届く地形。体調不良を訴えている夫婦の診断結果から。
「二〇〇七年一月から試運転が始まり、そのときから二人とも身体に異常を感じました」。
二人の訴えの特徴は、風車から出る騒音による被害と、それとは異なる低周波音域と思われる不定愁訴的な被害の二極構造だと分かった。自宅は風力発電機から三五〇㍍の距離にあり、この地形では騒音が届いたり届かなかったりという距離である。
続いて低周波音の説明。
この音は、通常、人の耳に聞こえる音とは異なり、その音域より低く、防音設備をしても通りぬける音である。むしろ窓を開けた方が低周波音の影響を受けなかったりする。つまり、窓を開けると低周波音は家の中を通り過ぎ、窓を閉めると逆に家の中を旋回するのである。
前記の愛媛県伊方町のAさんの報告。
風車が回ると胸がドクドクし、脳で音を聞いているようななんとも言えない不快感を感じた。それから二か月たつと左の耳の耳鳴りが始まった。稼働をやめて欲しいと風力発電会社に申し入れした。「二重サッシを付けたらかなり効果があるからというので付けてもらいましたが、しかし、耳で聞いても音は小さくならず、それを伝えても会社からはなしのつぶてでした」。
これが風力発電の実態です。私たちは風力発電について、実態をあまりにも知らないのではないでしょうか?(秀)


