
みなべ町地域おこし協力隊員でみなべ川森林組合で勤務している梅田進太郎さん(30)が今年度と来年度の2カ年かけて、ドローンやAI技術を使ってブランドの紀州備長炭の原木となるウバメガシの本数調査を実施する。原木が減っているという声は多いが、実際に数値化されたデータはなく、完成すれば今後、産業を守るための有効な施策立案などに生かすことができると期待されている。
梅田さんは昨年4月に協力隊員としてみなべ町に採用され(任期3年)、森林を取り巻く課題解決や産業振興策を検討、計画することを任務にみなべ川森林組合で働いている。
町特産の紀州備長炭の原木であるウバメガシは近年、減少が大きな問題で、炭焼き職人も減っている現状を知り、ブランドの備長炭や優れた製炭技術を守りたいとの思いを強くした。炭焼き職人が「ウバメガシが少なくなっている」と口にしているが、実際どこにどれだけあるか把握している人はいないことから、まずは町内全域の山で本数調査することにした。
調査はドローンを使って行う。ドローンを飛行させるルートをプログラミングし、町内全域の山の航空写真を撮影。ソフトを使って写真を平面的な「オルソ画像」に変換する作業を行ったあと、どの木がウバメガシかをAIに学習させ、大量の画像の中からウバメガシをピンポイントでマークする。軌道に乗るまではAIがウバメガシと判断した木が間違っていないか現地に入って確認し、正確性が確立されればAIに任せて原木を写真上に示し、どこにどれだけあるかをデータ化する。準備を整えて5月からスタートするが、約3000㌶と広範囲になるため任期内の来年度末までの完成を目指す。
梅田さんによると、ウバメガシは植樹して伐採できるまで25~30年かかるが、放っておくと周辺の雑木に養分を取られてさらに成長が遅くなるという。データが完成すれば、森林環境贈与税を活用して原木周辺の雑木を伐採したり、原木を切り出すための簡易な道をつくる事業などに活用できるとし、「データ化することで、原木を守るための有効な事業の発案に役立つ。未利用の原木林の発見につながることも期待している」と話している。