14日午後6時半ごろ、みなべ町のとある施設に用事があり、車を走らせているとみるみる真っ黒い雲に空が覆われ、稲光と雷鳴が急にとどろき出した。駐車場から施設まで大雨と強風の中を走り、無事たどり着いた後にひょうが降っている音が聞こえてきた。知り合いから送られてきた画像や映像をみると、ひょうはビー玉サイズの見たこともないような大きさで、車のフロントガラスはみるみる真っ白になり、家の庭も溜まったひょうで雪景色のようになっていた。翌朝には傷つけられた梅やウスイエンドウの悲惨な状況の画像が送られてきて、言葉を失った。

 山内地内の友人の園地を見に行くと、梅の実はほとんど傷つけられ、ウスイエンドウにあっては風向きの関係で片面が全滅していた。この被害が日本一の産地全域に広がっていて、過去に経験したことのない危機的状況といえる。ひょうによる傷が原因でこれから生理落下することも十分考えられるようで、被害はさらに深刻になる可能性がある。昨年もひょうによる被害があり、2年連続。異常気象の影響でもあるだろう、生産者からは来年も起こらないとは限らないという不安の声も聞かれた。

 産地は昨年、大不作で、このままなら2年連続の梅不足。ひょうは人命に直接かかわる天災とはいいにくいだろうから激甚災害指定は難しいかもしれないが、生産者や梅を原料とする加工業者にとっては死活問題。消費者にとっても食べたい梅が手に入りにくくなる。

 農業は日本の根幹。農家や産地全体を守るために、国や県は従来の制度にとらわれることなく、これまでにない手厚い支援をしてくれることを切に望む。(片)