サヤに穴が開いたウスイ
実に傷がついた南高梅

 上空に強い寒気を伴った低気圧「寒冷渦」が日本列島に接近した影響で大気が不安定となり、日高地方でも14日夕方から夜にかけてゲリラ雷雨が発生。短時間で大粒のひょうが降り、日本一の梅の産地みなべ町では実が大きくなりだした南高梅の実が傷つけられるなどの被害が出た。同じくみなべ町ではこれから収穫のピークを迎えるウスイエンドウも大打撃を受け、生産者は頭を抱えている。

 夕方まで晴れ間ものぞいていたが、日高地方では午後6時すぎからみるみる真っ暗になり、みなべ町では6時30分ごろから雷鳴が鳴り響き、強風とともに雨からひょうに変わり、みなべ町内を車で走行していた50代女性は「ひょうで前が見えないくらいで怖かった」と話すほど激しく降った。海岸線では家の庭にひょうが溜まって白くなるほどで、大粒だったという。

 翌朝、畑を確認にいった海岸線の山内地内の50代男性によると、南高梅の実に大きな傷が入っているのを多数確認した。町内全域に降っており、清川の50代男性は「まだ詳しく見て回れていないが、傷ついている実はある」と話していた。町内では今月6日にも一部地域でひょうが降ったばかり。今回の方が深刻で、詳しい被害状況や被害額はこれから調査される。

 南高梅は昨年、過去最も不作で、現時点では「今年も例年よりは少ない」と心配されていただけに、今回のひょう被害が追い打ちになるのではと不安の声が上がっている。

 南高梅にとどまらず、ウスイも大きな被害が出ている。高品質と評判のみなべ町のウスイはちょうどこれから2週間ほどが収穫期となるが、ひょうでサヤに傷がついたり、穴が開くなどの被害が多数確認されている。南高梅とウスイの2本柱で栽培している農家の男性は「ウスイは1年かけて手入れや管理をして、さあこれから人を雇って収穫という矢先。過去にもこの時期にひょうが降ったことはあるが、穴が開くほどのひょうは初めて。半分ほどが被害を受けているので、これから人を雇ってまで収穫するべきか悩んでいる。梅も傷がつくと値段が下がるので、被害が最小限であってほしい」と表情を曇らせていた。