発掘調査で縄文時代の竪穴式住居が見つかった大芝遺跡

 縄文時代の遺物が見つかった日高川町佐井、大芝遺跡の発掘調査が3月で終了し、縄文後期(約4400年前)の竪穴式住居が19棟確認された。県内で発掘調査が行われた縄文時代の遺跡としては最多となる。

 現場は佐井橋北詰めから日高川上流約300㍍の右岸側で、ほ場整備に伴う発掘調査。面積約1万平方㍍。

 発掘では竪穴式住居のほか、中世の墓(土壙墓=どこうぼ)も19基が発見され、墓が多く作られた場所の墓域が広がっていたことが明らかになった。住居や倉庫に使ったと考えられる中世の掘立柱建物1棟(全長6・8㍍、幅5㍍)も見つかった。

 ほか、縄文時代の石斧や矢じり、剥片(はくへん)などの石器、食べ物の煮炊きや物を入れる容器として使ったと考えられる深鉢や浅鉢などの土器が出土。ゴミを集めて捨てたとみられる穴なども発見され、人々が生活していた痕跡を示す遺構が2000件を超えた。

 今後は出土した土器や石器、現地で作成した記録の整理を進めることで、さらに多くのことが判明する可能性がある。

 調査担当の県文化財センター埋蔵文化財課の濱﨑範子副主査(41)は「縄文時代の遺跡としては大きな成果があったと考えている。関東地方などで出土する縄文式土器も見つかっているので、遠方の人々との交流があったことが推測され、歴史的な価値がある」と話している。