新しいことを始めようとするとき、なかなか気分が乗らず、最初の一歩が踏み出せないことがある。例えば、記事を書こうとしても、パソコンの前に座る前から気が重くなり、つい後回しにしてしまう。そんな悩みを知人に話したところ、「とりあえず4分間だけやってみるといい」とアドバイスをもらった。

 この知人の話の根拠となっているのが、アメリカの心理学者レナード・ズーニン氏の提唱する「ズーニンの法則」。調べてみると、最初の4分間を乗り越えれば、その後の作業がスムーズに進むという法則らしい。なぜ4分間なのか。それは、人間の脳が作業に取りかかることで「側坐核(そくざかく)」という部分が活性化し、やる気を引き出すドーパミンが分泌される。つまり、「やる気が出ないから始められない」のではなく、「始めないからやる気が出ない」ということにもなる。

 考えてみれば、仕事や勉強に限らず、スポーツの練習や読書などでも、一度やり始めると意外と集中できることは多い。最初を乗り切ってしまえば、作業に没頭していたという経験は誰しもあるのではないだろうか。

 4月は新しい環境が始まる季節だ。入学や就職だけでなく、異動や転職、新しい人間関係など、新しい世界へ踏み出す機会が増える。こうした場面でも、「最初の4分間」を意識することで、不安を乗り越え、物事がうまく進むかもしれない。

 気が進まないからといって後回しにしていては、いつまで経っても前に進めない。まずは4分間、気が乗らないときでも行動を始めてみるといい。仕事や勉強で大きな成果を出すきっかけになるかもしれない。(雄)