みなべ町が全国に誇る南高梅の生育が、 ことしは例年に比べて2週間以上遅れている。 昨年秋の高温に加え、 ことし1・2月の低温と乾燥で開花が遅れたことが大きな要因。 満開以降も気温は上がっておらず、 例年ならいまごろは実がなっているが、 ことしはほぼゼロ。 このまま生育が遅れれば、 需要が高まる6月中旬に品薄の可能性があり、 「気温の上昇を願うしかない」 と農家はやきもきしている。
 JAみなべいなみが岩代、谷口、清川の3カ所で観測しているデータによると、 ことしは南高梅の咲き始めが前年より15~24日遅い2月23日ごろ、満開は7~18日遅い2月26日ごろ。満開直後には強風と雨に見舞われ、花の散りも早かった。満開後から計測している積算温度は、ことしは谷口で312度で、同様に生育が遅かった昨年よりさらに36度低く、5日ほど遅れていることになる。例年のこの時期(500度前後)に比べると2週間以上の遅れとなっている。
 同JAでは、生育のため冷え込みが必要な時期である昨年11月から12月にかけて気温が高かったことと、少しでも暖かい方が望ましい1・2月に冷え込みが厳しかったことが大きな要因と分析。満開以降の気温も思うほど上がっていないため、例年なら実がなっているこの時期でも、まだ花が散ったあとの萼(がく)が残っているだけの状態。このままだと収穫の遅れにつながる可能性がある。
 生産者は「南高梅は例年6月初めから収穫・出荷が始まり、10日ごろがピークになって業者らの購買が活発化するが、このままだとこの時期に梅が少なくなってしまう。消費者のニーズに応えるためにも、早く気温が上がってほしい」と祈るように話している。