音楽なら基本的にどんなジャンルも好きで、コンサートなどの取材は楽しく行わせてもらっている。この時期いつも取材する音楽の発表会が2つある。日高高校の合唱部、箏曲部の定期演奏会だ◆合唱部は4部構成の舞台。今年はアカペラで始まり、続いて「2024セレクション」として1年間に取り組んだ歌の中から4曲を披露。ОB・ОGや地域の人たちとの合同のステージもあり、最後はミュージカル「シンデレラ」。おなじみの物語だが、シンデレラと義理の姉2人が3人で、素敵な王子に憧れる女の子としての気持ちを一緒にうたうところなど意外な場面も楽しめた。それぞれのキャラクターのイメージが伝わるカーテンコールも楽しかった◆箏曲部の定演は、日本の伝統楽器ならではの端正な音の響きを堪能できる貴重な機会。江戸時代に作曲された古曲「六段の調」を1年生が演奏して幕を開け、続いて2年生が吉崎克彦作曲「雪月花によせて」。日本の美しい風景を表現した曲で、緊迫感をはらんだ美しい音の世界には独特の魅力がある。新卒業生3人と2年生は県コンクールで挑んだ、超絶技巧を必要とする難曲「幻窓疾駆(げんそうしっく)」を披露。締めくくりは長年弾き継がれている代表曲「GRADATIОN 風の彩」。激しい風のように、畳みかけてくる迫力がある◆両部とも、新卒業生が言葉を述べる時間があった。仲間、先生、家族への感謝が述べられ、振り返って「人生で一番成長できた時期だった」との感慨が述べられた。どの演奏もコンスタントに水準以上の出来を求められるプロの演奏とは一味違う、その1回にすべてを注ぎ込む真剣勝負の演奏。10代ならではの輝く歌声、輝く音色を堪能させてもらった。(里)