国の登録有形文化財(建造物)に由良町門前の臨済宗興国寺が、由良町では初めて、日高地方でも宗教(種別)としては初めて登録されることになった。

 登録されるのは法堂、坐禅堂、開山堂、方丈、大門の5件。1797年(寛政9)に再建された法堂は、二重の入母屋造で、屋根正面には軒先の一部を丸く装飾した軒唐破風を付して千鳥破風を飾っており、内部の天井には龍を描くなど、壮麗な空間を形成している。坐禅堂は江戸後期、開山堂は1823年(文政6)ごろ、方丈は1698年(元禄11)、大門は1938年(昭和13)に建設された。登録に向けては県と由良町の教委が23、24年度にかけて総合調査を行うなどして取り組んできており、田中禅徹住職代理(77)は「登録されたことは、喜ばしいことに思います」と話している。

 今回の登録では由良町の5件とともに高野町の3件、湯浅町の1件も追加される見通しで、国の文化審議会、文部科学大臣への答申などを経て、正式登録となる。登録有形文化財(建造物)は建設後50年を経過した建造物のうち、国土の歴史的景観に寄与しているなどの評価を得たものが対象。日高地方でも住宅(種別)を中心に多く登録されている。