厚生労働省が発表した2024年人口動態統計によると、昨年の県内の出生数は4701人で過去最少、10年連続の減少となった。少子化に歯止めがかかる気配はない。高齢化は進む一方で、日本の高齢化率は29%余、日高地方ではもっと高く、30%を超えている地域がほとんどだろう。高齢化率34%、3人に一人が65歳以上のみなべ町では先日、議会一般質問でゴミ出し困難者が増えているというリアルな問題が取り上げられた。

 免許返納したため遠いゴミステーションまで重いゴミ袋を持っていけなくなった人、障害があるためゴミ出しは訪問ヘルパーに有料で頼んでいるなどのケース、要介護認定を受けていない人ならヘルパーにすら頼めない現状が報告された。普段当たり前にゴミ出ししている筆者には考えたこともなかったことで、身近に困っている人はたくさんいるのだと痛感させられた。

 いい解消法がないものかと全国の事例を調べてみると、新潟県に中学生がゴミ出し支援をしている事例を見つけた。積雪の多い冬季限定のようだが、登校時、高齢者の家の前から集積場所へ運ぶ取り組みで、中学生にとっては地域やボランティアへの意識が高まり、高齢者は孫のような年代の子どもたちとの交流が生活の喜びやハリになっているという。普段かかわりが少ない世代のコミュニティーにもつながっている。

 ゴミ出しを近所の人に毎回頼むのも気が引けるし、近所の人もゴミ出し困難者ばかりというケースもさらに増えるだろう。自治体や学校の協力が必要だが、日高地方でも取り組める好例といえる。まずは中学校でゴミ出し困難者の問題を取り上げることから始めてほしい。(片)