
御坊市御坊の本願寺日高別院で16日、現在の本堂等の再建から200年を記念したイベント「日高御坊再建200年プロジェクト」が開催された。語り部とともに歩く寺内町散策、本堂では講話、構成劇等が行われ、あいにくの冷たい雨も県内各地から約100人が参加。御坊市の名前の由来となった寺と寺内町の歴史を学んだ。
午前の部は、御坊のまちの歴史や文化に詳しい木村洪平さんと、高校生ら学生が案内・解説する2コースの寺内町ツアーが行われ、それぞれ約30人が参加。後半の学生語り部のツアーは雨中の散策となったが、傘をさして小竹八幡神社などを巡り、参加者は熱心に耳を傾けた。
午後は本堂で木村さんが日高別院と御坊祭について講話し、浄土真宗本願寺派の住職らでつくる御坊楽所和雅楽(ごぼうがくそ・わがらく)が雅楽の演奏を披露。聴衆は笙(しょう)や篳篥(ひちりき)の荘厳な音色に酔いしれた。
劇団RAKUYU有志らによる構成劇「湯川一族と日高別院」は、大坂で戦に敗れた湯川直光が本願寺の証如上人に救われて日高の地へ戻ることができ、その感謝を込めて現在の美浜町に吉原坊舎を建立した経緯を紹介。のちの秀吉の紀州征伐で現在の御坊市元町付近に移って薗坊舎となり、さらに現在の場所へ移って寺内町が形成されるまでの湯川一族のドラマを再現した。
最後に講演した日高別院副輪番の花田和樹さんは、湯川直光公と証如上人の絆によって生まれ、地域の人に守られ、ともに発展してきた格式高い日高別院の歴史を紹介。「江戸期の再建からきのうでちょうど200年を迎え、この間も巨大地震などを乗り越えてこられた。これからさらに300年、400年先も日高別院が存在し、心のふるさととして、皆さまとともに歩みを進めていきたいと思います」などと述べた。
このほか、境内の御堂会館で開かれた裏千家竹露会による茶席も好評。田辺市から来た67歳の女性は「雨の中でしたが、まち歩きで御坊を知るきっかけとなり大変よかった。お茶もおいしくいただきました」、美浜町の71歳の女性は「地元にいても知らないことが多く、お話を聞いて興味を持ちました。雅楽も直接聴けてよかったです」と話していた。