全国的に少子高齢化や若者の仕事に対する価値観の変化などで労働力不足が問題となっている。地方の中小零細企業はとくに深刻で、日高新報でも各部署での人の確保に苦労している。そんな中で、外国人材の確保、活用が大きくクローズアップされている。外国人材を活用することで労働力不足の解消はもちろん、企業にとっては業務のグローバル展開や海外市場進出の強化、イノベーションの創出などにもつながるからだ。
政府は今月11日、専門技能を有する外国人材を育てる「育成就労制度」について、運用の基本方針を閣議決定した。この制度では外国人材を介護や建設、農業などの各分野で受け入れ、原則3年で一定の水準まで育てる仕組みで、受け入れ先の企業には国から支援がある。一方で基本方針には大都市圏に人材が集中しないよう配慮に努めることを明記。詳細については産業別の制度運用のあり方を年内に策定する考え。
こういった動きに先立ち、御坊市の社会福祉法人博愛会では介護の国家資格取得を目指す外国人に対して、同会の施設で働きながら無料で介護職員初任者研修が受けられる独自支援をスタートさせており、今後こういった動きが日高地方でも増えてくるだろう。当然、受け入れる企業側には職務上の意思疎通を円滑にするため、外国人社員が気軽に悩み事などを相談できる職場環境の整備や、日本人社員の語学力向上なども課題になってくる。
常に人に余裕がないような中小零細企業にとっては受け入れ態勢を整えるのは難しい面はあるが、外国人材の活用を本気で考えていかなければならない時代になってきたのではないだろうか。 (吉)