紀央館高校に設けられたランキング紹介ブース

 県内の高校や支援学校で組織された高校図書館研究会に所属する学校司書が、一昨年11月から昨年10月までに出版された国内の小説を対象に、おすすめ本を紹介するランキング企画「わかイチ本」を実施した。県内では読書率が全国的に低く、本に興味を持つきっかけにしてもらおうと有志の学校司書が集まり、手作りで企画した。

 総務省が5年おきに実施する社会生活基本調査の最新となる2021年調査によると、和歌山は「読書大好きランキング」で47都道府県中43位。学校司書たちは、高校生の読書率低下も感じており、読書のきっかけを提供しようと、初めてランキング企画を実施した。ランキングは高校、支援学校の司書38人を対象に行い、このほど結果が公表された。1位に選ばれたのは、交通事故で亡くなったクラスの人気者が学校のスピーカーに憑依して戻ってくる物語「死んだ山田と教室」(金子玲介著)となった。

 公表方法も工夫し、和歌山の「イチ押し」の本という意味を込めた「わかイチ本」の企画名を採用。PRポスターも製作し、ミカンをイメージした緑とオレンジ色を基調に、親しみやすいデザインに仕上げた。各学校の図書館に特設ブースを設けているほか、書店や公共の図書館への設置も呼びかけている。

 有志の一人、紀央館高校の学校司書・東祐季さん(39)は「本は、自分が言葉にできない思いを文章で表現してくれていたり、知らない世界を教えてくれたりします。この企画を通じて本を手に取るきっかけにしてほしい」と話している。2位以下の結果は次の通り。

 ②spring(恩田陸)③成瀬は信じた道をいく(宮島未奈)④地雷グリコ(青崎有吾)⑤みどりいせき(大田ステファニー歓人)⑥ステイ! ぼくとシェパードの5カ月の戦い(青谷真未)、小鳥とリムジン(小川糸)⑧お梅は呪いたい(藤崎翔)、みかんファミリー(椰月美智子)、俺たちの箱根駅伝・上下(池井戸潤)、夜と跳ぶ(額賀澪)