事件現場となった三角屋根の容疑者宅へ現場検証に向かう鑑識捜査員(8日朝)

 7日昼、日高川町三百瀬の民家で、大阪の48歳の男性がナイフで刺されて死亡し、御坊署が8日、この家に住む51歳の男を殺人の疑いで逮捕した。被害者の友人だという男は自ら通報し、「殺意はなかった」などと容疑を否認。警察は現場検証を行い、当時の詳しい状況を調べている。

 逮捕されたのは三百瀬の土木作業員高橋徹容疑者、亡くなったのは高槻市の篠原卓さん。高橋容疑者は7日午後3時33分ごろ、自宅で篠原さんの胸などをナイフで刺し、殺害した疑い。

 同署によると、3時38分ごろ、高橋容疑者が自宅近くの会社まで行き、電話を借りて「篠原さんが押しかけてきて、揉み合いになって、逃げてきた」と通報。駆け付けた署員が「ナイフで刺した」と聞いて自宅に向かうと、リビングで篠原さんが血を流して仰向けに倒れていた。

 篠原さんは心肺停止の状態で、御坊市内の病院に救急搬送されたが、5時38分に死亡を確認。ナイフは刃渡り約10㌢で、胸のほか左足にも刺し傷や切り傷があったという。

 高橋容疑者は調べに対し、「篠原さんは友人で金銭トラブルがあった。ロープで首を絞められたので、ナイフで刺した」という趣旨の話をしており、容疑について「刺したのは間違いないが、殺意はありませんでした」と否認。警察は引き続き事情を聴くとともに、8日、鑑識や篠原さんの解剖を行い、2人の関係やいきさつ、当時の状況等を詳しく調べている。

 現場の自宅は三百瀬橋の北東約300㍍、県道船津和佐線から東へ山を上ったところ。軽自動車で通るのがやっとの狭い道の先に高橋容疑者の自宅ほか、別荘や太陽光発電のパネルが建っている。

 地元の住民らによると、高橋容疑者は数年前に引っ越して来て一人暮らし。自治会や地域の行事には参加していなかったという。近くに住む70代の女性は「運ばれる人を見ました。警察の人が来て、何かあったとは思っていましたが、えらいことですね」と話し、高橋容疑者については「地元でトラブルはなかったと思います。人づき合いは苦手みたい。あいさつすると頭を下げてくれる大人しい感じ。人を殺すような人じゃないと思うけど」、40代女性は「つき合いはありませんし、どこから来られたのかも知りません。怖いですね」と話していた。