JR紀伊由良駅の再整備に向けて検討を進める民間主導の由良町駅まちづくり協議会(会長=西川一弘・和歌山大学教授)は5日、役場で第4回会議を開き、基本構想案を策定した。駅舎機能やカフェ、待合スペースなどを備えた新拠点施設、広場、ロータリー、駐車場の4つのゾーンを駅前に配置する内容で、今月中に山名実町長に答申する。

 協議会は、地元住民や商工・観光関係者、子育て支援団体、JR関係者らで組織され、昨年1月に発足。協議会や専門部会を開くとともに、小中高生で構成する少年議会にも意見を募り、駅に必要とされるさまざまな機能について提案を出し合い、その中から実現可能性の高いものを素案に反映させた。

 素案では、駅前を4つのゾーンに区分。新拠点施設は既存の駅舎を使用せず、新たに駅舎機能を備えた建物を建設するもので、カフェや特産品販売、コワーキングスペース、図書機能、観光案内、サイクリスト向け設備、防災機能などを想定している。広場には子どもの遊び場やマルシェなどのイベントスペースを設ける。ロータリーはバス・タクシー・送迎車の導線を整理し、混雑緩和を図るほか、屋根付き駐輪場も整備する。駐車場は駅施設や鉄道利用者向けとし、カーシェアリングの活用なども検討する。

 今回の会議では、少年議会から「駅の立地を考えると、学習や読書スペースの利用は見込めないのでは」との指摘や、「駅前が混雑する時間帯は一日のうち限られている」との意見があり、コワーキングスペースの必要性やロータリーの費用対効果について議論が交わされたが、構想段階では多くの可能性を残す必要があるとして、多様な提案を盛り込んだ内容となった。

 答申後は基本計画の策定へと進むが、具体的な進め方は未定で、今回の構想を基にさらに取捨選択を行う方針だ。