上位入賞した篆書作品の「喜怒哀楽」

 第31回全国特別支援学校文化祭の書道部門で、みはま支援学校高等部3年の沼田暖生(はるき)さん(18)が4位に当たる全国特別支援学校病弱教育校校長会長賞を受賞した。昨年に続き2度目の出品だが、入賞は初めて。篆書(てんしょ)の「喜怒哀楽」を独自にアレンジした作品での受賞で、贈られた盾や賞状を手に「とてもうれしいです」と喜んでいる。

 沼田さんは中等部から同校に在籍。書道は高等部1年から選択授業で始めた。科目は毎年変えられるが、沼田さんは3年連続して書道を選択。当初は楷書を中心に書いていたが、やがて隷書(れいしょ)、篆書と関心の幅を広げていった。特に線の太さが一定で丸みを帯び、絵に近い形の文字も多い篆書が気に入り、自由に創造力を発揮する書き方を得意とするようになった。創作漢字なども意欲的に手がけている。

 昨年は「楽天」で県代表に選ばれ、全国文化祭に出品。今回の「喜怒哀楽」は2度目の出品で、初めて上位の賞を受けた。「喜」は口の部分を笑っているように、「怒」は両目に見える上の部分を怒っているように、「哀」は眉の下がった悲しそうな顔に、「楽」は全身で踊っているような楽しそうな形にと、1文字ずつを独自のアイデアでデザイン。生き生きした作品に仕上がった。指導教員の中瀬敏和さんは「沼田君は1年生の時から力強い楷書を書いていました。線を一定の太さできれいに引けるなど篆書と相性がよかったようで、しっかりと基礎をマスターしたうえで自由な表現ができるようになりました。受賞作品は安定した運筆で、素晴らしい出来と思います」と高く評価。沼田さんは「最後の学年で賞をもらえて、すごい達成感を感じました。うれしいです。卒業して就職したら忙しくなるので書道を今まで通り続けられるか分かりませんが、休みの時など時間を見つけて書いていければと思います」と話している。