
教職員への給与未払い等のトラブル続発により、生徒が激減、経営難から校舎などの施設改修も思うように進まない日高川町の和歌山南陵高校で、地元御坊市の塗装業者がボランティアで塗装作業を行っている。先月放送された全国ネットのドキュメントバラエティ番組で学校の窮状を知り、生徒のために役に立てればと、自ら申し出て協力。老朽化で傷みがひどかった寮の壁が、今月中にはきれいになる。
作業を行っているのは、塩屋町南塩屋で塗装業などを行う「ゆーみーペイント」(浦越憲輝代表)。先月21日に放送された日本テレビの「ザ! 世界仰天ニュース」では、南陵高校が運営法人と学校とのトラブル等から生徒が激減、経営難に陥り、法人を所管する静岡県から生徒募集の停止命令を受け(昨年末に解除)、老朽化で雨漏りがする寮で生徒の食事も満足に出せない状況のなか、バスケットボール部が全国大会に出場するなど奮闘する姿が紹介された。ゆーみーペイントの浦越代表は大阪出身で同校のことはあまり知らなかったが、「この学校に残ることを決めた今の3年生がつくったきっかけをつなげたい。地元の学校のために、自分たちでできることがあれば」と、無償で施設の塗り替え協力を申し出た。
学校は、新入生が使用する寮の3階フロアの廊下や扉の塗装を依頼。壁は老朽化で元の白色が黒ずんだ部分もあるが、浦越代表と従業員が他の業務の合間を縫って作業を進め、元の白色に水色のラインを入れることで明るく清潔感のある廊下に仕上がるという。
浦越代表は「学校が苦境に立たされるなか、それでも残ることを決断した生徒たちがいたからこそ、新たな機会が生まれた。3年生たちに『自分たちの選択は正しかった』と思ってもらえるよう、きれいな壁で新入生を迎え、学校が存続し続けることを願っています」と話す。
新しく法人の理事長兼校長に就任した甲斐三樹彦氏は、「ゆーみーペイントさんの心のこもった取り組みに感謝致します。きれいな壁で気持ちよく新入生を迎えたい」と話している。