2部ではメンバー5人全員で、平家物語 「扇の的」 で語りを披露した

 印南町のよみきかせサークルグリムの会(宮本浩子代表)のきのくに「語り」寄席inいなみが16日、印南公民館で開かれ、町内外から約100人が詰めかけた。同会は今年で結成30年。節目を記念するイベントとなり、メンバー5人は友情出演の他サークルの協力も得ながら、30年の思いを込めた語りで魅了した。

 1995年秋に結成。県内の各学校などで読み聞かせを精力的に行い、エプロンおじさんとして親しまれた別院清さんの指導を受けて活動を続けてきた。約6年前に清さんが急逝したあとは、妻の丁子さんのサポートを受けている。

 グリムの会単独での寄席は久しぶり。宮本代表はメンバーの増減を繰り返しながら現在は5人で地道に活動していることを紹介し、「別院清先生が急逝され、このサークルをどうするか途方に暮れていたときに、丁子先生が救世主のように引き継いでいただいた。読み聞かせサークルみなべ、和歌山よみきかせ連絡会の皆さんの協力できょうの寄席を開催することができた。最後まで楽しんでください」と感謝を込めてあいさつした。

 4部構成で、1部では和歌山の作家山本真理子さんが県内に伝わる伝説をまとめた「紀州ばなし」から、メンバー4人が語りを披露。笹本禮子さんは「鳥のはなし」、前田礼子さんは「塩焼地蔵」、久保井千代さんは「笛の名手」、深津孝子さんは「へひりじいさん」を和歌山弁を前面に臨場感とユーモアたっぷりに語り、来場者は笑いながら聴き入っていた。

 2部ではメンバー5人が舞台に上がり、平家物語の「扇の的」を見事に発表した。3部は友情出演の和歌山よみきかせの会連絡会が啖呵売(たんかばい)「がまの油売り」を披露。4部の怪談三題では別院丁子さんが「耳なし芳一」でトリを飾り、大きな拍手に包まれた。