7年前、ドイツのメルケル首相が自身のSNSにアップしたG7首脳会議の画像が話題となった。椅子に座る米国のトランプ大統領に対し、机に両手をつき斜め上から見下ろすメルケル首相。そのなにやら険悪な2人の間で、安倍首相が困った顔で腕を組んでいる。

 その後、米政府が公開した写真は、トランプ氏の後ろでトルドー首相(カナダ)が笑顔をみせ、場はとても和やかなムード。日本の官邸が出した一枚は安倍氏が米独両首脳の間に身を乗り出し、駄々をこねるトランプ氏を説得しているように見える。

 なるほど、同じ現場の同じ瞬間の写真であっても、角度が違えば印象は大きく異なる。各国とも自国のトップが外交交渉で優位に立っているように見える写真をチョイスしているのがよく分かる。

 メルケル氏といえば、引退後の回想録で語ったトランプ氏の評価が手厳しい。「彼は何でも不動産業者の目で判断する。すべての国は競争関係にあり、誰かが勝てば誰かが負けると信じている。彼の考えでは、協力による共存繁栄はありえない」。いま聞いても、なんら違和感を覚えない。

 ロシアのプーチン大統領については、「ひどい扱いを受けないよう警戒し、犬を使ったり他人を待たせたりして相手を罰しようと常に構えている」。過去の会談で、メルケル氏が苦手な犬を席に連れてきたことへの怒りもにじむ。

 ロシアとウクライナの戦争に関し、トランプ氏がウクライナの頭ごしにプーチン氏と停戦交渉を始めた。ロシアに有利な条件をウクライナにのませ、「俺が戦争を止めてやったぜ」と言いたいだけでは、との見方も。重要なのは停戦後のウクライナの安全保障。メルケル氏、安倍氏がいないことが悔やまれる。(静)