今回紹介するのは「ソードアート・オンライン オルタナティブ ミステリ・ラビリンス 迷宮館の殺人」。ソードアート・オンライン(SAO)は2009年にライトノベルとして発売され、アニメ、ゲーム、映画、漫画など、多くのメディアミックス展開が行われ、今でも人気の作品。小説SAOのストーリーは新たに開発された完全没入型のオンラインゲーム「SAO」を主人公たちがプレーする。通常のテレビ画面のゲームと異なり、ヘルメット型のギアを装着することでプレーヤーはゲームの世界に移動し、現実世界ではベッドなどに横たわっている状態。初日に約1万人が参加し、主人公もプレーを楽しんでいたが、その世界はゲームの開発者が手掛けたデスゲームの舞台で、クリアしなければ現実世界に戻れないというもの。さらにゲーム内の死亡は現実世界での死亡につながる仕組みになっており、現実世界でも大きな問題となる。

 紹介する小説「迷宮の殺人」はそんなSAOのスピンオフで、SAO事件のあとに、同じようなゲームを楽しむプレーヤーが、SAO内で起こった殺人事件の手記を見つける。そこにはデスゲーム中に、ある館に入った冒険者たちが、謎の死を遂げていくという内容だった。

 さまざまなミステリー物を読んできたが、ゲーム内が舞台という作品は初めて。殺人方法もゲームらならではで、自らの手で殺人を犯せば頭上の名前の色が変わるため強いモンスターに攻撃させる「MPK」という方法など。また死亡するとそのまま消えるため死因の特定なども難しい。そういった設定が楽しめる作品となっている。(城)