
美浜町吉原、松原王子神社(小竹伸和宮司)と同神社総代会(松本繁樹会長)は、老朽化した社務所の一部修繕へ奉賛(寄付)を募っている。昭和11年(1936)に建てられて以来約90年間、改修などはされたことがない。「傷みが激しく早急に修繕したいが、宮の会計は潤沢でなく、どうか氏子の皆さまにご協力をお願いしたい」と求めている。
同神社の詳しい由緒は不明で、江戸時代初期、延宝6年(1678)の「日高鑑」にある記載が最も古い記録だが、「王子神社」という名称、近隣で平安時代の経塚が発見されたことから熊野九十九王子の一つではないかと推察される。熊野詣の人々が比井港に上陸し、陸路を熊野に行く場合の要衝の地だったとも考えられるという。社叢(しゃそう)は数百年にわたり人の手が入っていない天然林で、県指定文化財となっている。社殿は享保3年(1718)再建、昭和11年(1936)に改修され、その時に社務所も新築した。
社務所は必要に応じて補修してきたが、大きな改修などはされていない。特に入口付近の屋根の一部は傷みが非常に激しく、けが人を出す恐れもあるという。「そういった事態を避けるため、早急に修繕を行いたい。しかし補助金の類は一切なく、費用の捻出に苦慮しているところです。先人が守ってこられたこの神社を、できるだけ現状維持して次の世代に引き継がなければならないと思っています。どうぞご理解いただき、ご協力を賜りますようお願いいたします」と呼びかけている。
問い合わせは小竹宮司℡0738ー22ー0089。