昨年暮れまでにまとめた全国のインフルエンザ患者数が過去10年間で最も多くなっているそうだ。和歌山県でも既報の通り先月26日に警報基準値を超え、感染が急拡大中。周囲でもインフルエンザにかかったという話が耳に入るようになり、筆者も注意している。
振り返れば2020年1月、新型コロナウイルスが国内で初感染が確認されて猛威を振るい、マスクや消毒、部屋の換気など感染症対策が徹底されたことで、インフルはほとんど姿を消していた。そのコロナが23年5月、5類に分類されて以降、感染症対策が緩んだことで、その冬に再びインフルが広がると心配されたが、そうでもなかった。その時はまだ、コロナ感染対策のなごりや警戒心が続いていたのだろう。いまとなってはマスクをしている人も少なくなり、店舗や公共交通でも手指の消毒液を置いているところがほとんどない。年末年始の旅行や買い物でウイルスが拡散されるのは当たり前なのかもしれない。
専門家によると、インフルの大きな流行が数年なかったことで、そのウイルスに免疫のある人が少なくなっていることもあって、今季の爆発的な感染拡大につながっているそうだ。だとすればウイルスがある程度まん延して一定の集団免疫を獲得しておく方が、社会全体としていいという考え方もある。もちろんワクチン接種も有効な予防手段だ。
そうは言っても、感染するとしんどい思いをするし、家族や仕事面でも迷惑をかける。できることなら感染せずにやり過ごしたいもの。やはり手洗いやうがい、人ごみを避けるなど、コロナで培った感染対策をいま一度思い返し、できることを実践していきたい。(吉)